2020
11/19
kくんの話
彼と出会ったのは、彼が小学校2年生の時。新講師の頃でした。
いつも笑顔いっぱいでレッスンにはくるのですが、ピアノの前に座るのはものの数分、すぐに追いかけっこ。練習もほとんどしてこない。。。
講師になりたてだった私はどうすればいいのだろう?と困惑しながら彼と向き合っていました。
でも彼が「音楽が好き、ピアノを弾くのが好き」ということははっきりとわかりました
その気持ちだけを頼りに、毎回試行錯誤しながらレッスンを重ねました
小学校高学年頃から、「お母さんが好きだからこの曲を弾きたい!」と言って曲を選んできました。
テキストはほとんど真面目に取り組んでいないし、どうしようか、、、と思いながらも取り組んでみることに。
やってみて分かったことは、
難しい曲もやる気さえあれば乗り越えるだけのスキルを身につけていた、ということでした。
見えなかった「コップの中身」が溢れた瞬間でした。
彼は中学になってもレッスンに通ってきました。
この頃ご家庭や学校では反抗期特有の行動で問題を抱えていたようですが、レッスンに来る彼は小学校2年生の時と何ら変わらない音楽好きな男の子で、ショパンのワルツを好んで弾いたりもしていました。
彼に関わったことは私の指導人生に大きく影響を及ぼしました
好きであれば、いつでも伸びるチャンスがある。
そして彼のお母さんの
「本人が続けたいといううちは練習もしないで申し訳ないのですがこさせたいと思っています」というお考えがなければあの成長は見られなかったと思います。
彼は高校になってもレッスンに通ってきました。
この頃になるとベートーベンの月光ソナタやリストの愛の夢にチャレンジしました。
ピアノが弾ける高校生はそう多くありません。
今でいう「ピアノ男子」ですね。
彼の場合はお母さんのために弾くピアノというのがきっかけだったのだと思いますが、それから先は自分が弾きたい曲にチャレンジをするようになり、彼自身にも大きな自信が生まれていったと思います。
彼も今は30代半ばくらいになっているはず・・・・
ピアノ弾いてるかな?