楽器店の生徒さんのお話です。
数ヶ月前に習い始めた年長さんがいます。
習い始めてから少し経ったある時、レッスンに同伴されているお母様から「あまり練習しない」ことが気になっている、とお話がありました。練習は週に3回くらいだとの事。
先日、いつも通りレッスンに来た彼女。
その日はパッと楽譜を開き、弾く気持ちに溢れていました。
いつもはソルフェージュから入るレッスンですが「今日はこれ(弾くテキスト)からやる?」と聞くと「うん!」と返事。
その日の弾き方は自信にあふれ、このところ取り組んでいたブラインドタッチ(手元を見ないで楽譜を目で追いながら弾く)がしっかりと出来ていました。
「すごいねえ!今日、すごくよくなってるね!」
と声をかけると、にこり(^ ^)
後ろで見たいたお母様からは、
「練習すると違いますね」と。
話を聞くと、
「今までは練習してきなさい、というだけだったけど、今週はすぐ横で座って聞くことにしました。ピアノのことはわからないので、ただ聞いているだけなんですけど、本人はすごい練習に身が入るようになって。たったそれだけのことなのに変わるんですね」と。
この話を聞いた時思わず拍手していましました。
お子さんが練習に身が入った要因は二つあると思います。
一つ目は、「そばで、聴く。」ということ。
このお母さんは3人の子育て真っ只中です。いらしているお子さんは第2子のお子さんです。家事や育児で忙しいお母さんが、ピアノの練習をするときは横にいて見てくれる。これはお子さんにとってもお母さんを独占できる時間なのだと思います。嬉しくて練習に精が出たのかもしれません。
二つ目は、「練習について、何も言わない。」ということ。
このお母さんはピアノの経験がありません。なので、何も言えないというのですが、それが功を奏しました。これはピアノ経験があるお母さんにとってはかなり難しいハードルですが、とても大切なことだと考えます。
とても素敵なお話を聞けて、私も嬉しくなりました。